プリズム/百田尚樹

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小説レビュー
『プリズム』百田尚樹
幻冬舎文庫

あらすじ

主人公の梅田聡子は32歳の主婦。
家庭教師派遣会社に登録し、岩本というお屋敷に通うことになった。

最初の訪問時、聡子は岩本家の主でもない30歳くらいの男を屋敷内で見かけたため、聡子から会釈をしたが男は目を合わすことなく一点見つめ続けていた。

また別日には、聡子は夫人の許可を得て屋敷内の庭園を歩いていたところ、木に触れた際に「木に触るな!」と怒鳴られ植木鉢を投げつけられた。先日見た男のようにも見えたが、雰囲気が異なっていたため聡子にはわからなかった。

さらにまた別の日、聡子は再び、庭園で男に会った。男は自身を画家を言い、フランクな話し方をしてきた。そしてその場で聡子の絵を綺麗に描いた。

この男たち、実は、たった1人の男で、岩本家の主の弟であることが判明。そして彼は解離性同一性障害、つまり多重人格であることがわかる。聡子は、受け入れがたくもその男の中に存在する交代人格たちの中の一人に恋をする。

感想

主人公の梅田聡子の心が次第に揺さぶられて変わっていく様が見所だと思います。最初は不思議な気持ちと嫌悪感があったのにいつしか興味が沸いていき、気づいたら本気に…。

相手が解離性同一性障害でたくさん出てくる人格のうちの1つの人格でしかないとわかってはいても、その1つの人格に恋に落ちてしまうというほど、聡子の理性が自分で制御できなくなってしまいます。

最後に印象に残ったシーンです。


卓也の表情から、一緒にしないでもらいたい、という傲岸な気持ちが覗いた。

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