殺戮にいたる病/我孫子武丸

なかなかなサイコホラーです。

あらすじ

東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるシリアルキラーが出現した。

くり返される凌辱の果ての惨殺。

冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇、平凡な中流家庭の孕む病理を鮮烈無比に抉る問題作！

（本書巻末より引用）

感想

これは本当に「ダマされたっ！！」てなります。

案の定、僕も結末で騙されてしまいました。

登場人物の稔、樋口、雅子の視点から描かれています。

ただし、時系列は完全には一致してません。

書き方からして、この時系列が騙すポイントなのかな？と思っていたのですが嬉しいことに、そんな予想できる範疇ではありませんでした。

サイコホラーが好きな人は、その殺人鬼の非人道な哲学も楽しめると思いますが、

少々表現が詳細すぎる場面があり、グロテスクに感じるかもしれませんので、食事の直前直後にはオススメしません。

人物設定が巧みなため、確実に騙されると思います。

ただし、騙された後も後味は決して悪くなく、むしろ「そうだったのか～そうきたのか～」って感心する他ありませんでした。

ん～これは、叙述トリックでもかなり良かったと僕は思います。

最後に、ちょっと面白かったた台詞です。

「まったくだ、こりゃひどい」教授は頷いた。「―モップはどこに置いたんだったかな」

竹田信