その女アレックス/ピエール・ルメートル(橘明美 訳)

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小説レビュー
『その女アレックス 』
ピエール・ルメートル

橘明美 訳
文春文庫
「その女アレックス」ピエール・ルメートル/橘明美 訳/文春文庫

あらすじ

おまえが死ぬのを見たい―男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…しかし、ここまでは序章にすぎない。孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。イギリス推理作家協会賞受賞作。

(BOOKデータベースより引用)

「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」

(訳者あとがきより引用)

感想

「胸くそ」「どんでん返し」で何か面白い作品はないかなーってTwitterでツイートしたらフォロワーさんから紹介いただいて(厳密には紹介いただいたのちフォローしていただいた)知る機会を得た作品と作家です。やっと読み終わったのでレビューします。

僕のブログではどんでん返し小説の紹介記事がおかげさまで毎日たくさんの方に見ていただいてますが(一般検索でリーチしやすくなったようです)、この作品については他のどんでん返しとは違う味わいを覚えます。

この作品は一発どんでん返しというより深層が徐々に見えて来る度に登場人物への見方がいつの間にか変わってくるという現象に陥ります…。

情報が多くなっていくに連れて物事の見方が変わるというのは日常的に僕たちの現実でも起きてますよね。知らない一面が見え始めた時に見える世界が変わってしまうことって。

だからこそネタバレしたくない作品で、これから読んでみようとする人はそういう感覚(徐々に見え方が変わっていく様や自分の感じ方の変化)をじっくり味わいながら読み進めてほしいです。

読み終わった後に「これってどうなのよ?」と議論したくなる人もいるかと思います。

ネタバレになるので「これってどうなのよ?」の“これ”を書くわけにはいけませんが、僕のコメントとしてはあくまでフィクションだからこそその結末すらじっーくり心で感じとってほしいです!

爽快感などやってきません!さぁ、あなたの「胸くそ」はどこに向かうでしょうか?

最後に最も印象に残った台詞です。

「つまり愛と権威が」

ルイ・マリアーニ

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